谷中は街そのものが宿!「hanare」に泊まって過ごす楽しみ方をご紹介します
「谷中」と聞いて、どんなイメージが思い浮かぶだろう? 商店街や下町風情のある街並みを楽しめる地域で、もはや都内有数の観光地となって久しいエリア。そのにぎわいっぷりは昼間のイメージが強い人も多いのではなかろうか。しかし、どんな街にも泊まるからこその楽しみや、朝晩にしか出会えない景色がある。谷中ももちろん例外ではない。
「hanare」は、そんな“泊まって楽しむ谷中”を提案してくれる、ちょっぴり変わった宿泊施設。旅するように、暮らすように、街を堪能する……そんな、一味違う谷中にご案内しよう。
街全体を宿に見立てた宿「hanare」とは
「HAGISO」の名前を聞いたことがある人は多いかもしれない。芸大生たちがアトリエ兼シェアハウスとして使っていた木造アパート「萩荘」を改修し、2013年にオープンした最小文化複合施設。リノベーションした飲食店やギャラリーの先駆けともいえる存在だ。
そんな「HAGISO」が2015年にスタートさせた宿泊施設が「hanare」。コンセプトは“まち全体を一つの大きな宿に見立てる”というもの。
「谷中に来てくれる観光客は夕方以降少なくて、観光のしかたが一定のパターンに収まってしまっている印象でした」と、HAGISO取締役の顧 彬彬(こ ぴんぴん)さん。「『hanare』が、違う視点を持つきっかけになったらいいなと思います」。
そんな「HAGISO」が2015年にスタートさせた宿泊施設が「hanare」。コンセプトは“まち全体を一つの大きな宿に見立てる”というもの。
「谷中に来てくれる観光客は夕方以降少なくて、観光のしかたが一定のパターンに収まってしまっている印象でした」と、HAGISO取締役の顧 彬彬(こ ぴんぴん)さん。「『hanare』が、違う視点を持つきっかけになったらいいなと思います」。
「hanare」のレセプションや客室、アメニティ
レセプションは「HAGISO」の2階。コンシェルジュが、宿の利用方法だけでなく谷中の街についての説明や案内をしてくれる。どんなふうに過ごしたいかをヒアリングして店を提案することも多いそうで、希望すれば早めにチェックインして街歩きツアーをしてもらうことも可能だ。
銭湯も夕食も、楽しみ方は無限大
宿泊棟である「丸越荘」は、築60年ほどのアパートだった建物。宿泊料には銭湯の料金も含まれていて、付近にある数カ所から選ぶことができる。好奇心の赴くままに歩いてみるもよし、コンシェルジュに教えてもらった店を訪ねてみるもよし。帰る時間を気にすることなく、路地で迷子になることすら楽しみながら、思う存分満喫できるというわけだ。
また訪れたくなる、思いやりの宿
そして、チェックアウトの際には担当したコンシェルジュが手紙を渡してくれるという粋な計らいも。「そういったコミュニケーションが、スタッフにとっても励みになっていると思います」と顧さん。リピーター客がとても多いというのも頷ける。人のあたたかみも含めて谷中の魅力を余すことなく味わえる、唯一無二の宿なのだ。
「hanare」の基本情報
住所:台東区谷中3-10-25
TEL:03-5834-7301
レセプション:11:00〜20:00
定休日:不定休
TEL:03-5834-7301
レセプション:11:00〜20:00
定休日:不定休
【おすすめスポット①】老舗花屋「花重」のカフェでひとやすみ
明治3年(1870)創業という歴史ある店で、2023年春にカフェを併設してリニューアルオープン。明治10年(1877)築の建物をリノベーションし、文化財としての価値を残しつつもスタイリッシュな雰囲気に生まれ変わった。仏花はもちろん、ギフトや自宅用にもよさそうな色とりどりの花が咲き乱れる。
花屋の奥にあるカフェは、古い梁などが見える店内のほか、テラス席も用意されている。緑も豊富で陽の光が燦々と差し込み、穏やかな谷中霊園の雰囲気をそのままパッケージしたかのよう。
花屋の奥にあるカフェは、古い梁などが見える店内のほか、テラス席も用意されている。緑も豊富で陽の光が燦々と差し込み、穏やかな谷中霊園の雰囲気をそのままパッケージしたかのよう。
カフェメニューは、ふわっとした口当たりのフレンチトーストや竹炭を使ったコーンが特徴のソフトクリームも人気だというが、注目すべきは花重オリジナルメニュー・花重月餅。台湾人パティシエのブランド「YEHZ」とコラボして生まれたもので、口に運ぶとふわっとほうじ茶が香り、胡桃のキャラメリゼの上品な甘みがくせになる。
「これまで、お墓参りに来た方がひと休みできる場所ってあまりなかったんです」とは、カフェの運営を担う山陽エージェンシーの山田さん。「今後はランチメニューも充実させたいです」とのこと、谷中の街歩きにまたひとつ彩りが加わりそうだ。
「これまで、お墓参りに来た方がひと休みできる場所ってあまりなかったんです」とは、カフェの運営を担う山陽エージェンシーの山田さん。「今後はランチメニューも充実させたいです」とのこと、谷中の街歩きにまたひとつ彩りが加わりそうだ。
「花重(はなじゅう)」の基本情報
住所:台東区谷中7-5-27
TEL:03-5834-8729
営業時間:9:00〜16:30
定休日:毎週火・第4水曜日
TEL:03-5834-8729
営業時間:9:00〜16:30
定休日:毎週火・第4水曜日
【おすすめスポット②】「谷中ビアホール」のクラフトビールで乾杯!
谷中霊園の南には、昭和13年(1938)築の古民家3棟をリノベーションした「上野桜木あたり」という複合施設がある。ベーカリーや雑貨店などの店が入居しており、そのうちのひとつが「谷中ビアホール」だ。
ここで味わうべきは、群馬県八ッ場の自社醸造所で造っているオリジナルビール。全10種あり、定番のほかに季節によって入れ替わるものもある。名前に谷中とつくビールはこの店でしか飲めないオリジナルで、なかでも谷中ビールは谷中の街をイメージして作られたものだ。「ビール本場のドイツやベルギーのお客さんから『おいしいね』と言ってもらえることも多いんですよ」と谷津和彦さん。どれもクセがなくて飲みやすく、とはいえ香りや濃さは全く異なり、飲み比べが楽しいったらありゃしない。まずはテイスティングセットを注文して、好みの味を探してみるのがおすすめだ。
また、小鉢で提供されるおつまみも特徴的。「ビールといえば唐揚げとフレンチフライだけど、テイスティングを楽しめることを重視したんです」と、数年前から和のものを中心にしたそう。イチオシの鮭とばは日本酒のアテというイメージが強いが、試してみれば驚くほどビールによく合う!
ゆったり楽しむもよし、さくっと飲んで次に繰り出すもよし。クラフトビール好きはもちろん、谷中ならではの一杯を味わいたいなら絶対に外せない店だ。
ゆったり楽しむもよし、さくっと飲んで次に繰り出すもよし。クラフトビール好きはもちろん、谷中ならではの一杯を味わいたいなら絶対に外せない店だ。
「谷中ビアホール」の基本情報
住所:台東区上野桜木2-15-6
TEL:03-5834-2381
営業時間:11:00〜20:00
定休日:月曜日
TEL:03-5834-2381
営業時間:11:00〜20:00
定休日:月曜日
【おすすめスポット③】「糸雨雑貨店」でお気に入り探し
谷中ぎんざ商店街の一角にある、小さな間口でジェラートを売る店。その奥を覗いてみると、器が並ぶ素敵な空間が……!
なんだか、誰かの秘密基地を見つけたような気分だ。
ここは「糸雨雑貨店」。「グルグルジェラート」との共同プロジェクトで2021年にオープンした店で、根津「雨音茶寮」や湘南「茶室 雨ト音」の姉妹店だ。
なんだか、誰かの秘密基地を見つけたような気分だ。
ここは「糸雨雑貨店」。「グルグルジェラート」との共同プロジェクトで2021年にオープンした店で、根津「雨音茶寮」や湘南「茶室 雨ト音」の姉妹店だ。
「自分の好きなものを集めた店をいいなと思っていたんです」とオーナーの那須野浩美さん。
「作家さんたちの発信地にもなれたら」と話す通り、日本のさまざまな作家の作品が並んでいる。シンプルで洗練された形が美しい器や、ゆるいイラストがかわいらしい雑貨、くすっと笑えるアイディアが詰まった文具など、見ていて飽きないものばかり。定番商品のほか季節によって入れ替えもあり、何度訪れても発見や出会いがあるのもうれしい。
入り口から奥まっていて外から様子がわかりづらいぶん、じっくり話を聞きながら商品を眺めたり選んだりできて、すっかり世界観に魅了されてしまいそうだ。
「谷中に泊まっている方が、2日かけて来てくださることもあったんですよ」と店長の安田記子さん。特に器はじっくり悩んだり迷ったりするのも楽しい買い物だが、近所に泊まっていれば一晩悩んでから翌日買いに行くということもできる。
「作家さんたちの発信地にもなれたら」と話す通り、日本のさまざまな作家の作品が並んでいる。シンプルで洗練された形が美しい器や、ゆるいイラストがかわいらしい雑貨、くすっと笑えるアイディアが詰まった文具など、見ていて飽きないものばかり。定番商品のほか季節によって入れ替えもあり、何度訪れても発見や出会いがあるのもうれしい。
入り口から奥まっていて外から様子がわかりづらいぶん、じっくり話を聞きながら商品を眺めたり選んだりできて、すっかり世界観に魅了されてしまいそうだ。
「谷中に泊まっている方が、2日かけて来てくださることもあったんですよ」と店長の安田記子さん。特に器はじっくり悩んだり迷ったりするのも楽しい買い物だが、近所に泊まっていれば一晩悩んでから翌日買いに行くということもできる。
「糸雨雑貨店(いとさめざっかてん)」の基本情報
住所:台東区谷中3-13-3
TEL:070-2619-8251
営業時間:12:00〜17:30(土・日・祝は11:00〜18:30)
定休日:火・水曜日
TEL:070-2619-8251
営業時間:12:00〜17:30(土・日・祝は11:00〜18:30)
定休日:火・水曜日
谷中で一泊、実際に過ごすとどんな感じ?
では、実際に谷中に泊まると一体どんな風景に出会えるのか。谷中在住の筆者のお気に入りをご紹介しよう。
陽が暮れると、昼間のにぎわいとは打って変わって静けさがやってくるのが谷中の街。商店街の店のシャッターがおりると、街は一気に観光地から住宅地へと表情を変える。都内有数の寺町でもある谷中の朝夕は、鐘の音が響くエリアもある。そっと息を潜めて路地を歩いたり、根津・千駄木方面の明かりを見ながら坂を下ったり、遠い夜景に目を凝らしたり。
陽が暮れると、昼間のにぎわいとは打って変わって静けさがやってくるのが谷中の街。商店街の店のシャッターがおりると、街は一気に観光地から住宅地へと表情を変える。都内有数の寺町でもある谷中の朝夕は、鐘の音が響くエリアもある。そっと息を潜めて路地を歩いたり、根津・千駄木方面の明かりを見ながら坂を下ったり、遠い夜景に目を凝らしたり。
泊まるからこそ、見えてくる魅力がある
「谷中の街並みはたまたま残っているわけではなくて、残そうという気持ちが代々つながってきたからこそのもの。人の営みのあたたかさを感じてほしいです」とは、HAGISOの顧さんの言葉。
観光地として表面だけを楽しむのではなく、一晩じっくり過ごすことで、土地の歴史や人々の思いも垣間見ることができる。旅行や街歩きで谷中を訪れるなら、ぜひ泊まって味わうことを選択肢に入れてみてほしい。
観光地として表面だけを楽しむのではなく、一晩じっくり過ごすことで、土地の歴史や人々の思いも垣間見ることができる。旅行や街歩きで谷中を訪れるなら、ぜひ泊まって味わうことを選択肢に入れてみてほしい。
谷中「hanare」&おすすめスポットマップ
Google Mapの読み込みが1日の上限回数を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください
※各店・各施設の情報は2024年6月時点の内容です。
また、夏季・年末年始・GWの休日は異なる場合があります。公式サイト・SNS等をご確認のうえおでかけください。
また、夏季・年末年始・GWの休日は異なる場合があります。公式サイト・SNS等をご確認のうえおでかけください。
ライター/中村こより
1993年東京生まれ、北海道育ち。坂のある街に憧れて2020年から谷中在住。
街を歩いたりお店の話を聞いたりする記事をよく書いています。
好きなものは凸凹地形、地図、路上観察、夕立。
街を歩いたりお店の話を聞いたりする記事をよく書いています。
好きなものは凸凹地形、地図、路上観察、夕立。