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台東薪能たいとうたきぎのう

下町・浅草の夜に浮かぶ幽玄な世界

夜の暗闇の中でかがり火をたいた幻想的な雰囲気につつまれ、浅草寺の本堂と五重塔を背景に屋外に設けられた能舞台で上演される「台東薪能」。

そもそも薪能は、奈良時代に中国から伝わった曲芸や奇術などの芸能、散楽に由来し、そこに日本古来の神楽舞や、五穀豊穣を祈る田楽などが融合して生まれたといわれています。 平安時代に入り次第に短い劇のような形の猿楽となり、室町幕府の将軍、足利義満の保護を受けた観阿弥・世阿弥親子によって現在の芸術性が確立されました。江戸時代には幕府の公式の芸能となりましたが、明治維新以降いったん下火に。第二次世界大戦後、奈良の興福寺の薪御能が復興し、その後全国に広がりました。

台東薪能では、木遣りで火が運ばれる“火入れ式”が他の薪能にはない特色で大きな見どころです。野外の静けさ、風にそよぐ葉、薪がパチパチと燃える音。かがり火で照らされた幽玄な雰囲気のなか演じられる薪能は、神秘的で非日常的な世界へ見る者たちを連れて行ってくれます。

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